東京地方裁判所 昭和54年(ワ)11811号 判決
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【判旨】
そこで、右解除の効力につき判断する。
<証拠>によれば、次の事実が認められる。
1 被告は昭和四八年九月一七日原告に対し昭和四八年一月分から同年一二月分の本件土地の賃料として一万四〇〇〇円を送金した。
2 被告は昭和四五年頃より本件建物の転借人であつた訴外井原清市に対し家屋明渡訴訟を提起していたところ、その過程で昭和四七年に至り本件土地の所有者がはなではなく訴外大野正男であることが判り、その頃被告の妹の夫である訴外大野豊茂を介して大野正男に対して本件土地を譲つてほしい旨申し入れたが拒絶された。その後、被告の妹に対してはなから「必ず正男との関係はちやんとするから、問題が起らないようにするから。」という電話があつた。その後、はなあるいは原告から何の連絡もないので、被告は昭和四九年一月分以後の賃料支払を怠つた。
3 原告より昭和五四年五月二五日に賃貸借契約を解除する旨の内容証明郵便が被告に届いたので、被告は同年六月一一日昭和四九年一月分から昭和五四年一二月分までの賃料八万四〇〇〇円を供託した。
右認定に対する原告本人の供述は前掲各証拠に照らし措信することができない。
右事実によれば、被告の賃料支払の遅怠の切掛けとなつたのが、本件土地の所有者が訴外大野正男であつたことが判つたことであると認められる。このことは必ずしも賃料不払を正当化するものとはいえないが、かかる事情が認められ、且つ不払の総額を解除後ではあるが供託している点に照らし、無催告解除を理由あらしめる程度の著しい背信性を認めることができない。従つて、本件契約解除の効力はないものといわざるを得ない。
(荒井真治)